財政破綻の原因と影響
こんにちは。
財政破綻した北海道の夕張市の破綻の原因から、同じようなことが他の自治体で起こりえないか考えてみました。
1 夕張市の破綻の原因
①人口の急激な減少
平成17年度国勢調査の結果では、人口は1万3千人と約9分の1まで激減し、全国都市中人口激減率は第1位。平成22年度国勢調査の速報値では1万925人で、最盛期の10分の1となっている。
②地域活性化対策事業の財源の大部分を地方債に依存し実施
閉山跡処理対策に費やした費用は昭和54年度以降16年間で584億円、平成17年度人口1人当たりに換算すると、公債費は類似団体の約3倍の17万6千円となる。
③行政体制の効率化の遅れ
人口に見合った職員数及び人件費の仰制が不十分であった。
④観光施設過大投資
観光事業は、長引く景気の低迷ながら、本来、使用料等の収入により賄うべき経常経費及び施設整備に係る元利償還金に充てるべき収入が不足し、赤字運営となっていった。
⑤歳入の減少
人口の急激な減少に伴い、税収入がピーク時の昭和59年度比較した場合56.2% 12億1千7百万円の減、また、地方交付税においては、平成4年度以来、連続前年度を下回る状況で推移し、ピーク時の平成3年度と比較した場合、55.5% 38億8千万円の大幅な減少に加え、更に、平成13年に「産炭地域振興臨時措置法」の失効に伴い、この間交付された「産炭地域臨時交付金」の廃止による歳入の減少に対し、的確な対応ができなかった。
⑥不適正な財務処理
2 他の自治体への影響
①人口減少社会
消滅可能性都市
民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)が、少子化と人口減少が止まらず、存続が危ぶまれると指摘された896市区町村(全国の49・8%)を発表しています。公表された市町村のうち東海地方で高かった市町村をあげますと、
南伊勢町 -71.9%
愛知県東栄町 -74.8%
設楽町 -71.5%
岐阜県白川町 -70.3%
七宗町 -67.0%
「消滅可能性都市」とは、少子化の進行に伴う人口減少によって、存続が困難になると予測されている自治体を指しています。
②地方債現在高の状況
総務省|地方財政状況調査関係資料|平成26年度都道府県決算状況調第17表、第18表参照
③地方公務員数の現況
⑥適切な会計
東京都は、平成18年4月から、従来の官庁会計(単式簿記・現金主義会計)に複式簿記・発生主義会計の考え方を取り入れた新しい公会計制度を導入いたしました。
また、全国の自治体が、複式簿記・発生主義会計を導入し、本格的な財務諸表を作成できるよう、支援を行っています。
既に早くから導入していらしゃった元石原都知事、さすがです。
- 「現金主義・単式簿記の会計では、予算をどのように執行したのかという記録は残せますが、それによってどれだけの資産、負債が生じているのかはわかりません。つまり、財政状態が悪化していても、どのような理由でどの程度悪化しているのか、把握することができないのです。健全な企業運営を支えるのが会計制度であり、その根幹には正確な財務諸表があり、そのベースとなるのが発生主義・複式簿記なのです。市民に対してより正確な財務情報を公表するなど、財政の透明性が高まるとともに、議会では客観的な会計データをベースにした議論がなされるなど、発生主義・複式簿記を含んだ行政改革の起点となっています。」
その他にも、
があります。
自治体の会計制度も財政の透明性や市民への説明責任を背景に、変わっていくようです。
以上のことからすれば、近いうちに夕張市に続いて財政破綻が他の自治体で起こる恐れは低いといえます。ただ市民の高齢化・人口減少・地方債の増加を止めることは著しく困難と思われます。そのため長期計画を立てたうえで適時適切に処理していくことが望まれます。
皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。
乾 晶