自治体の目玉施策を考える その3 番外編 「1億総活躍社会」

こんにちは。4月30日の中日新聞朝刊に「1億総活躍プラン」が5月にまとめられるとし、各地で対話が行われたと載っていました。

www.nissay.co.jp

日本の総人口が今後大幅に減少することが減少することが予想されます。そのため、労働生産性を確保し、GDPを上げるためには女性や高齢者など日本にいる成人すべてが活躍できる社会の形成が必要となります。政府は新3本の矢として「強い経済」「子育て支援」「安心につながる社会保障」を掲げ、GDP目標を600兆円に設定しています。子育て支援では、希望出生率1.8の実現、待機児童ゼロ、幼児教育無償化などを掲げています。

 しかしながら、5月2日時点で先週日銀の金融緩和が見送りとなり投資家の失望売りによって前週より600円下落し日経平均株価は16000円前後を推移しています。不運にも熊本大地震が起き九州の工業地帯は工場停止などに追い込まれています。したがって「強い経済」には時間がかかりそうです。

 ひとり親家庭を支援する改正児童扶養手当法が5月2日、参院本会議で、全会一致で可決、成立しました。所得の低いひとり親家庭に支給する児童扶養手当について、2人目以降の支給額を最大で倍増されます。しかし、待機児童問題は解消されずデモが行われ、周辺住民の反対により開設が断念されることもありました。非正規の増加や奨学金の返済など若者の生活は苦しく出生率どころの問題ではありません。そもそも派遣は禁止すべきです。「同一労働同一賃金」を徹底すれば、本来は非正規労働者社会保険などを自己負担しているわけですから賃金は正規者より高くなるはずです。いずれ欧米のように解雇が自由になれば労働の流動化が進み、社会の給与体系も変わっていくでしょう。大学も多すぎでオンラインで足りる気もします。

 年金の受給開始年齢もどんどん上がってきています。高齢者の医療費及び介護費もどんどん高額になっています。そもそもこれらの費用の抑制をしっかりしないと社会保障費を上積みしても焼け石に水です。

 現在総活躍プランを実現しうる具体的な政策は打ち出せていません。選挙前に良いことをいっぱいします、というアピールに見えなくもありません。また野党も批判ばかりです。国民のことを考え代替案を打ち出すべきです。野党も国を憂い国民の未来をおもう政治家のはずです。すべての政治家は、いかに働きやすい社会を作るべきか具体的に思案すべきです。

フィフィ「本当に愛国心がない」 民進党を痛烈に批判 - ライブドアニュース

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個性的な公務員 おとなしい人=公務員じゃなかった その5

こんにちは。

今回は「南三陸町ネイチャーセンター準備室」を取り仕切る産業振興課水産業振興係長の太齋彰浩さんです。彼は慶応の高校研修プログラムやJSTの高校サイエンスキャンプの受け入れなど年間2500名ほどの教育利用を創出され、地域の人材育成にも力を入られてツアーガイド等の養成も行われています。東日本大震災で町に大きな被害があった後は、水産業の復興に尽力され、未利用資源を無駄なく使う「地域循環の仕組みづくり」にも取り組まわれていらっしゃいます。

science-community.jpより

誰かが発見するまでは資源ではない

資源はどんな地域にもあるはずです。ただし、誰かが発見するまでは資源ではありません。多様な人の視点が入ることで、地域の資源が発見されていく。さらに、それを活用できる形に加工することで、色々な人が使えるようになっていく。そんなプログラムを開発し活用方法までパッケージ化することで、地域が題材になります。
 本センターではこれまで3人のポスドク(博士研究員)を採用しました。彼らが地域で研究を行い、そこで生まれた研究から今度は教育プログラムをつくる。それぞれ独自のことを研究するので、地域も活きるし、その人も活きる。お互いにハッピーになれると思います。
 具体的には、海藻おしば講座や磯観察ツアー、スノーケリング教室などを開設しました。さらに同センターの活動の結果、新たなダイビング・ポイントも生まれ、ダイバー向けの講座も開設しました。後半はサイエンスキャンプや大学生インターンシップの受入など、人材育成にも力を入れていました。

別の視点からみれば、邪魔者が資源になる

環境省モニタリングサイト1000」では全国に数個しかない藻場のサイトとして選ばれました。ここが北方系の昆布と南方系の海藻が混在するエリアであることと、本センターで研究者の受入が可能な点が選定理由となりました。ここ志津川湾には絶滅危惧種の海草も生息していますが、地元の人はよく知らず、漁業の邪魔者として扱われることもあります。ところが、別の視点から見れば、これらの海草が稚魚の隠れ場所になり、あるいはその海草を食べに、世界で5千羽しかいない水鳥の希少種「コクガン」がやってきます。このように、別の視点から見ることで、地元の人が地域の資源をさらに活用できるようになるのです。そんな理解増進のお手伝いが本センターの役割でした。

津波で失ったもの、残ったもの

本センターには、いろいろな立場の人たちが集まってきました。しかし、お互いの利益を主張するだけでは、一方的な関係になって続きません。本センターは、お互いの価値を伝えるためのハブ、通訳としての役割が大きかったのかなと思っています。
 東日本大震災で発生した津波によって、南三陸町の市街地にあった約75%の建物が流されました。本センターも消失し、これまで収集した標本データも全て失いました。しかし、人と人とのつながりや、これまで培ってきたノウハウは残っています。自然環境も残っています。逆に、震災をきっかけに町の自然環境の価値を見なおしたり、新たな連携が生まれた今をチャンスだと捉え、この状況を利用して持続可能な地域をつくることが、次の我々の役割だと考えています。

持続可能性と地域循環を最優先

南三陸町では「バイオマス産業都市構想」を策定し、地域の特色を活かしたエコタウンを目指しています。取組の一つは、生ゴミからメタンガスと液肥を製造し、メタンガスはエネルギーとして自施設で利用し、液肥は農家が畑の肥料として使って還元します。もう一つは、木質ペレットです。南三陸町は8割近くが山林で、放置されている山が多いため、利用されていない木材で木質ペレットを生産し、ボイラーやストーブ用などに供給して熱として利用します。
 持続可能性と地域内循環を再優先する。生命活動に必要な最低限のものは、できる限り、地域内でまかなえるようにする。これは、震災を体験した地域の義務でもあります。その側面支援をしていくのが、本センターの役割だと思っています。

 ようやくセンターの復旧が具体化する段階にまで来ました。現在の町役場があるエリアにセンター再建を計画しており、次年度から設計を始めて、平成28年度中の完成をぜひ目指したいと思います。ここに来れば、より森・里・街・川・海のつながりを感じられ、南三陸町の取組全体を一般の方が実感できるような施設をつくりたいですね。

 

 ご自身も被災され避難されておられる中、奮闘してこられた太齋さん。水産業の復興にも決して行政だけでは成し得なかったとのこと。多くの人の連携により復興しつつあるそうです。研究者であった太齋さんは自らの知識などを使って人材育成や今ある資源のなかで出来うる限りのことを模索していらっしゃいます。また「理解増進のお手伝いが本センターの役割」「その側面支援をしていくのが、本センターの役割だ」とのお言葉は、よく縁の下の力持ちと言われる自治体の後方支援を表しているものだと思います。

 

皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。

乾晶

 

求められる公務員像

こんにちは。

熊本大地震から既に2週間あまりが経とうとしています。こうした災害が起こった場合、公務員は家族を差し置いてでも庁舎に駆けつけ市民の安全を確保するとともに市民の生活を今までどおり行えるよう尽力しなくてはなりません。

そこで、そうした場合にもリーダーシップをとるべき公務員像を考えてみました。

1 被災地に赴く

口先だけで動かない経営者には誰もついていかない|小宮一慶の週末経営塾|ダイヤモンド・オンライン

フレデリック・デンマーク皇太子が東松島市にメッセージ

オーストラリアは南三陸と共に - オーストラリア大使館東京

www.sankei.com

 フレデリック皇太子様をはじめ世界のリーダーならびに救援隊がまるで自国の出来事のように心配し、直ちに被災地へ駆けつけてくださいました。もしかしたら原発放射能を浴びてしまったり、感染症に罹ってしまうかもしれません。そんななかリーダーたちは被災地へ駆けつけ、市民に寄り添っていました。

2 自己犠牲

toyokeizai.netより

 リーダーの条件

どうも多くの日本人の奉仕の精神は、自分の余力を差し出すというものです。お金もまあまあ、生活に響かない程度に献金するというものです。こういう考え方が日本人には行き渡っています。ところが世界標準の奉仕の精神は、必ずしもそうではない。自分のいちばん大切なものを差し出すという考え方がある。場合によっては、それは命であるかもしれない。こういう奉仕の精神が、どうも日本人には希薄であるように思うのです。

上記記事を読んで私は、だから欧米の会社や大学入試ではボランティア活動の経歴が聞かれるのかな、と考えました。

3 まとめ

リーダーに求められるのは、まず行動力です。それはどんなに自分にとって都合が悪くても社会や国のために真に必要であれば動かなくてはならない、という信念に基づいた行動を指します。つぎに自己犠牲です。行動力とも関係します。よく公務員志望の方が志望動機で「市民の役に立ちたい」「地元に貢献したい」とおっしゃられます。例えば同じ公務員志望の人でも一方はイベント系・運動系サークルを頑張った人、他方でボランティアサークルで障害者支援をした人・学部でまちづくり研究に没頭した人では果たしてどちらが採用されるでしょうか。口頭や書類では好き勝手言えてしまいますが、行動を伴っていなければ初めて会う人には信用されません。地域貢献活動やボランティア活動の経歴が今後公務員採用でも重視されていくものと思われます。

個性的な公務員 おとなしい人=公務員じゃなかった その4

こんにちは。

 「Mr.復興」と呼ばれた男

今回は、マッキンゼーを経てNPO、社会的起業、一般社団法人RCF復興支援チームの代表理事であり、復興庁政策調査官も勤めておられた藤沢烈さんです。一般社団法人RCFは復興事業の立案や関係者間の調整役である「復興コーディネーター」としての役割を担っている。政治・行政、企業、非営利セクターという3領域にまたがって活躍する「トライセクター・リーダー」の典型といえます。

原体験

現在の活動につながる“原体験”は、阪神淡路大震災オウム真理教事件で2つのことから学んだのは、社会は意外ともろいということです。高速道路の崩壊とか、1つの宗教団体が日本を動かしてしまう有様を見て、国とか地域とか産業、建物とか、人間が作っているハード、ソフト、システムはそれほど信頼できるものでも、頼れるものでもないということを知りました。

「目の前のことに真剣になる」が信条

ある企業は、自治体に出掛けていって、「これやらせろ」などと言う。ところが自治体は、目の前のことに困っていてそんな余裕はなく、申し出を断る。行政は行政で企業のことも、NPOのこともわからない。だから自分たちで全部やろうとして、結局回っていなかったという状況がありました。僕らはそこを必死につないできたのです。

変わりゆく社会貢献活動

企業は最近CSVすなわち本業の一環として社会貢献活動に力を入れています。ビジネス以外の領域で自分たちの存在意義を発揮しないと、この日本社会にいる意味がないと気づき始めたのではないでしょうか。

business.nikkeibp.co.jp

復興は階段と踊り場の連続

今村久美氏は、NPO法人「カタリバ」で教育支援、コラボ・スクールを行っている。茂木崇史氏は、「一般社団法人まちの誇り」を作り、水産業支援や地域活性に尽力していく。彼らに共通することは、自分に役割があると感じて飛び込んでいったことだ。彼らは、今後別の事態が起きたらそちらに移動するだろう。「それでもいい。一つの出来事によって自分を開き、飛び込んでいくのが鍵」。


diamond.jp

社会のために働く 未来の仕事とリーダーが生まれる現場

社会のために働く 未来の仕事とリーダーが生まれる現場

 

 マッキンゼーを経て被災地で奮闘される藤沢さん。彼の調整の仕方や考え方には第一線で活躍されるビジネスマンとしての思想が盛り込まれており、一般の公務員とはかけ離れているかもしれません。コーディネーターは彼だからこそ成り立ちうるように思います。しかし、公務員も公務員志望の人もこういった崇高な理念と行動力は大いに学ぶべき点と思います。

皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。

乾晶

個性的な公務員 おとなしい人=公務員じゃなかった その3

こんにちは。

本日は個性的な公務員シリーズその3として木村俊昭さんをご紹介いたします。彼は小樽市役所に入庁後当時港湾業が廃れ、「斜陽の街」と呼ばれていた同市の地域活性に奔走され、全国初の歴史的建造物を活用したライトアップや、老舗ガラス工房誘致によって「ガラスの街・小樽」としてのブランド化に成功されました。小樽市を見事、観光都市として生まれ変わらせたのも彼の手腕といえます。

第118回 木村俊昭(2009年5月19日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 より

人を動かせるのは人

木村が最も心がけることは、なるべく人と直接会うこと。言葉だけでなく体全体で相手にメッセージを伝えることができるからだ。1年間で4000人もの人と名刺交換し、地域再生の種を撒き続ける木村は言う「人と会うことが好きでなければ、公務員は出来ない

心に種火をつける

地域再生で最も大切にしていることは、地域の人達を「その気にさせること」。「魅力はあなたたちの中にある」それが最も伝えたいメッセージだ。

”ばかもの”がうねりを起こす

「どうせ無理だろう」と考えがちなことも一縷の可能性を信じて挑戦する。がむしゃらな姿が次第に人々を動かし、協力者を増やし、うねりをつくっていくのだ。

 

www.nikkeibp.co.jp より

「行政の役割とは何か」について、同じように地域活性化に取り組んでいたとしても、民間のコンサルタントとは違って公務員や行政は名刺に信用があるのだとし、直接の利害に関わらないという証があるからこそできることがあると木村さんは言う。

 

自分たちの力でできる「まちおこし」

自分たちの力でできる「まちおこし」

 

 

市政策(まちづくり)を学び、自治体政策にたずさわりたくて小樽市に入庁しました。入庁時からの目標は、産業文化を世界に発信すること、未来を担う子供たちを地域で育成することです。ただいきなりそうした担当セクションで仕事はできませんでした。でも入庁当初からまちづくりの提案は続けてきました。きっと変なやつだと思われていたと思います(笑)。そうしたことが徐々に評価されて、小樽市提案表彰で第一号の表彰も受けました。25才から議会事務局で議長随行、32才から市長随行していたことも振り返ってみると大きかったですね。人脈形成に役立ちました。こうした経験をつんだ上で、現場の担当責任者になったことでまちづくりを広い視野で取り組めるようになったと思います。

 

#015 公務員だからこそできること!地域現場から描くソーシャルデザイン | SOCIO design noteより

 彼がまちづくりを担当する以前からがむしゃらに仕事に打ち込んできたからこそ、担当になる夢が叶い、活躍につながっているのですね。私の経験上希望の配属にならずふて腐れる先輩や同僚もみてきましたが、こうした一途な姿勢が活躍される人には一貫してあるように思います。

jbpress.ismedia.jp

皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。

乾晶

リーダーシップを発揮した経験で真に聞きたいこととは

「直近4年間でリーダーシップを発揮した経験はありますか?」

こんにちは。

「直近4年間でリーダーシップを発揮した経験はありますか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?

Aさん「サークルで私は部長をしていまして、意見の衝突があって喧嘩したときに・・・。」というのは人事担当者もハイハイって言うぐらい耳にタコ状態に聞き飽きられているお話のようです。

googleなど欧米の採用では特に顕著に聞かれるそうです。googleが求めているのは、業務においてリーダーを経験したかどうかだけではありません。正式なリーダーという立場ではなくても、リーダーシップを持って行動できるかどうかが問われます。

どうしてリーダーシップ経験を人事担当者は聞きたがるのでしょうか?

d.hatena.ne.jp

「例えば、忘年会をするとして出欠のメールを返さなかったり、店選びにケチをつけたり、遅刻したりする人は1度も幹事をやったことのない人すなわちリーダー経験のない人です。組織を動かして成果を出すことがどれほど大変か実体験で学んでいない人がチームにいるとおそろしく非効率になるのです。」とちきりんさんはおっしゃっています。「加えてそういった経験を何度もした人は高いリーダーシップを身につけています。そのスキルは実体験でしか得ることができないのです。」とも。

 

採用基準

採用基準

 

 では、どう答えるのが良いのか?

以上から、真に聞いているのはあなたはチーム内で和を乱す、空気の読めないわがままな人じゃないですよね?ってことでしょうか。日本でも面接の場面で聞かれる「リーダーシップ」とは、チームの目標やゴールに向かって効率的にチームを導くこと、といえそうです。そうだとすると、例えば自分の考えだと余計に時間が掛かるから別の考えに従おうと妥協することやチームの仲間の作業が遅れているから支援しようとすることも「リーダーシップ」に含めうるのでは、と思いました。また経験をただ話すだけではなくて、「そういった経験を通して空気が読めず同じ目標に向かっていないとチームが非効率になってしまったり、達成できないなどの弊害が出るので社会人になったら上司の指示に素直に従って取り組みたい」と述べるのも好感が持てます。

皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。

乾晶

面接マナーは、そんなに心配する必要なかった

こんにちは。

皆さんは大学などで面接の練習をされていると思いますが、そんなに心配する必要はありませんよ、というお話です。

blogos.com

私が以前勤務していました資格学校でも

「ノック2回は、便所の確認に使います。それと区別するには面接のノックは3回が正解です。」なんて指導してらっしゃる先生がいました。

でも、よく考えてみてほしいのです。果たしてノックの回数なんかの些末なマナーに採点があるのか、と。きっとそれだけで減点や落とされることはないと思います。

あくまでも社会人一般に持っているであろうマナーの、基礎を有しているかを確認しているにすぎません。もちろん多くの方は社会人としての経験がないと思いますから、マナーの基本的部分だけが少し見られているのです。意識すべきは、話の内容と言葉のキャッチボールができるかのコミュニケーション力です。

皆さんが第一希望の公務員となれますよう、心から祈っています。

乾晶