集団討論議題 その2 ベーシックインカムの導入の是非について
こんにちは。
皆さんGWは楽しく過ごされましたか?
では、スイスでベーシックインカム導入に向け国民投票が予定されるなど今話題の「ベーシックインカム」ですが、導入の是非について討論してください。
1 現状の問題点
まず、このような制度が検討される社会の問題点は何でしょうか?背景を考えてみましょう。
派遣や非正規などの貧困の問題があります。これらの労働者は安い給料で酷使され、結婚や出産なども困難な状況となっています。また生活保護者の増加により社会保障費がかさんでいます。生活保護費をもらっていない人のほうが貧困であるという問題もあります。頑張って所得を増やすと受給額が減少し貧困から抜け出せないという面もこれに付随しています。生活保護をめぐるピンはね業者などの問題もあります。こうした頑張っても報われない人々を救済する手段として「ベーシックインカム」が検討されていると思います。
2 ベーシックインカムとは
ベーシック・インカムとは、就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付するという社会政策です。
ベーシック・インカムの大きな特徴は、以下の2点。
・社会保険など従来の所得保障制度が何らかの受給資格を設けているのに対し、これは無条件で給付する。
・生活保護などは世帯単位の給付制度であることが多いが、こちらは個人単位を原則とする
3 ベーシックインカムのメリット・デメリット
メリット
貧困への対策
社会保障制度の簡素化
これにより1階建て、2階建てと複雑になっていた年金や受付拒否が問題になっていた生活保護などが一元化されます。これら事務も簡素化でき職員の削減も成し得ます。
仕事の多様化
これにより労働者は嫌な職に就くことを辞めることができ、ボランティアや余暇活動から新しい仕事や起業へと仕事が多様化することが考えられます。
ブラック企業の減少
労働者は残業までする必要はなくなり、サービス残業や従業員を酷使する企業は淘汰されます。安い給料の派遣や非正規のある企業も仕事に就いてもらうには給料を上げなくてはならず派遣・非正規の問題も解消されます。
デメリット
労働意欲の低下
労働意欲が低下してしまい、働かない人が増えてしまうのでは、と考えられています。
手厚い補償の是非
果たして本当に一律給付でいいのか、特に保護すべき人には特に手厚い保障をすべきでないか、とも考えられます。
競争社会の破壊
また導入を検討しているとされるのはスイス、フィンランドですがアメリカやドイツが検討していないのはどうしてでしょう。競争社会が破壊されてしまうと考えているのでしょうか。
4 ベーシックインカムの課題(財源の確保)
デメリットよりもメリットの方が大きいようにみえるベーシックインカムですが、全国民に支給するとなれば、莫大な財源が必要になってきます。その財源はどこから確保すればいいでしょうか?
相続は不労所得だから相続税を100%にすればいいという意見もあるようです。しかしそれは平等主義を徹底し過ぎで導入の背景を無視していますので私は反対です。導入により年金・生活保護などの社会保障費がなくなる訳ですからそれらの費用及びそれに関する事務手続き削減に伴う人員削減などから捻出するのが妥当です。場合によっては自治体の市営アパート等設備売却、過疎地支援などを廃止することも考えられるのではないでしょうか。
5 所見
実際には既にある生活保護などの利権をなくすのは大変困難で、導入は難しいでしょう。気をつけてほしいのはあくまで低所得者の救済という現状課題に対する提言で、現制度に新たに制度を追加するのではありません。私はベーシックインカムに賛成なので好意的に書いています。年金や生活保護に対して十分な解決策がみえず特に若年層は将来に不安です。ベーシックインカムはこれらを解決する一つの制度といえます。また労働意欲も低下しないのでは、と思います。ワーカホリックな人もいますし、好きな仕事をすれば皆格段に生産性は上がると思うからです。しかし本当に一律で良いのか、手厚い補償をしなくて良いのかは難しいです。そもそも「平等」や「社会保障」とは、から考えてみる必要があります。それに競争社会が破壊されるかはやってみないと分かりかねます。さぁ、皆さんはベーシックインカムの導入をどう考えますか?
ここでは取り上げませんでしたが、「セーフティネット」との違いは何でしょうか。